りんごの俳句
もう七、八年くらい前のことです。
NHKの俳句の番組で、「りんご」を季語にした句を募集していました。
ここは一つ、私も「りんご」で作ってみようと、りんごに対するイメージについて、考えをめぐらせていました。
皆さんも少し考えてみると、いろいろ浮かんでくると思います。
りんごと言えば、赤い。果物。元気なイメージとか。太陽みたいかも。
番組の中で紹介するされている句の中には、りんごを赤ちゃんや子供に例えるものもあったように思います。
家の庭の隅にあるりんごの木を交えた、夫婦のやりとりを表現した句もあったかもしれません。
番組の中で選ばれる句はどれも秀逸で、短い文字の中にストーリーや情景が頭の中で浮かんでくるようなものばかりでした。
そんな中でも、私が特に感動した句があったのでご紹介させてください。
恋文は 縦書きでせう 青林檎
りんごがこんなにも青春を表す言葉にピタリとはまることに、私は目からウロコが落ちる思いがしたのと同時に、それにも増して、青春の甘酸っぱさが頭の中にいっぱいになりました。
大好きなあの人にラブレターを書こうと思い立ったとき、さてどう書いたら良いものか。
そもそも横書き?縦書き?
黒いボールペンだと暗いかな?
シールとか貼る?貼りすぎてもおかしいよね?
どこからか得たアドバイスをもとに、思い悩む若者の気持ちが伝わってくるようです。
ただのりんごではなくて、青林檎にしたところも、若々しさがいっそう引き立ちますね。
どうにかして小手先の「うまい俳句」を作ろうとしていた私は、俳句が素敵すぎて、ごめんなさいしたくなるほど心が洗われました。
私も、こんな素敵な句が作れるようになりたいものです。