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素敵なことを少しずつ

ドイツに心をはせる『針と糸』

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普段から忙しい生活をしていると、「丁寧な暮らし」という言葉に憧れをいだきます。

 

急いで、次へ次へと仕事をしていることで、何か素敵なことを見逃しているのではないか。

もう少し心落ち着けて、段取り良く、秩序を持って、事を運ばせることができるんじゃないか。

人の他愛のない話に共感を持って、もっと優しく接することができるんじゃないか。

そんなことを考えることもあります。

 

最近、小川糸さんの『針と糸』というエッセイ集を読みました。

彼女のドイツや鎌倉での生活の話をメインに据えた内容で、特にドイツの文化や習慣に関するお話は、我々の心をドイツへ運んでくれます。

 

ドイツでは週末になるとカフェのWi-Fiが使えなくなったり、ビジネスメールを送ることを禁止したり、休むことに対してもメリハリを持った「ルール」があるそうです。

日本人は仕事の終わりを作るのが苦手だという話を聞いたことがあります。

ドイツ人も日本人に似て生真面目なところがありそうなので、こうやって少し強制力のある「ルール」として運用することで、全員の足並みが揃うのかもしれないですね。

日本も似たような「ルール」で真似したらいいかも。

 

また、まだまだ使える家電製品や家具・道具などは、家の前に「どなたでもどうぞ」なんていうプレートと一緒に置いておけば、自由に持っていって良い慣習があるそうです。

 

日本はクリスマスになると、綺麗な電飾が街をにぎやかにし、その年の最後の一大イベントとして大いに盛り上がりますが、ドイツでは逆に静かになるそうです。

十二月も半ばになると、帰省する人も増えるのか、電車の中もがらんとし、家族と一緒に静かに過ごすのだと言います。

その季節は、街が静寂に包まれ、清らかな空気に満たされるそうです。

ただし、大晦日はあちこちから花火が上がって、その騒ぎは夜中まで続くのだとか。

 

異なる文化に身を置くことで、新しい視点から自分たちの生活を見直すことができ、とても素敵だなと思いました。

 

『針と糸』の全体の内容としては、そうやって異文化での暮らしについて触れる一方で、亡くなってしまった小川糸さんのお母さんとの過去のわだかまりについて触れている話が四分の一くらいあります。

日本を離れ、異文化に触れることで、それが最終的に自分自身の成り立ちを見つめることになるのかもしれませんね。

今のとなっては遠い話で、お母さんが亡くなってようやく優しく考えられるようになってきたそうです。

 

さて、小川糸さんはとてもフットワークが軽いようで、先に触れたように鎌倉に家があり、ドイツの部屋を借り、次は八ヶ岳に山小屋を建てようとしているそうです。

 

いろいろ素敵な場所で生活するのは、少し憧れがありますね。

私もいつか、少し日常から離れたところで暮らしてみたいものです。