MEMEX NOTE

素敵なことを少しずつ

リモートワークと自分だけの部屋

この数年間、新型コロナウイルスは、我々の生活の様々なことを変えていきました。

とにかくマスクを付けて、手洗いうがいを徹底し、混雑を避け、人との接し方も、働き方も、いろんなことが変わっていきました。

 

しかし、そんなコロナの影響も、いまやその力は弱体化し、感染者数もとても少なくなっているようです。

まだ「新型」って言わなきゃいけないの?と思うほど、もはや過去のものとなりそうなくらいです。

 

さて、コロナ中には多くのサラリーマンが、リモートワークという勤務体制をとっていました。

 

私も例にもれず、家からリモートワークをしていました。

しかし、もともと家がリモートワークをするような環境ではないので、家族の声がうるさかったり、ときには家事を頼まれたりと、なかなか仕事に集中できる場所ではありませんでした。

 

話はそれるのですが、イギリスの女性作家にヴァージニア・ウルフという方がいらっしゃいました。

これまで、女性は「家庭の天使」であることが望まれていて、職業に就いて社会的に活躍しようとするものならば、やれ「家庭をおろそかにしている!」とか、やれ「ご主人のことは誰が見ているんですか?」と言われていました。

とにかく女性は、仕事を通した自己実現が難しい世の中だったのです。

作家という職業についても同じで、もしも女性が作家をするのならば、年に五〇〇ポンドの稼ぎと、自分だけの部屋が必要だと主張していました。

そうすれば、精神的な独立を果たせるのだと。

 

彼女の著書の『自分だけの部屋』によれば、ドアに鍵をかけることができる個室だそうで、きっと私が使っている防音効果など微塵もないマンションの一部屋なんかよりも、重厚なのではないかと想像しています。

作家が使う部屋なのですから。

 

でも、ロンドンの一般的な住宅の面積と日本のそれは、大して変わらず小さいはずなので、大きさだけなら良い勝負かもしれません。

 

なんにせよ、私が快適な部屋を手に入れるためには、もしかして、さらに五〇〇ポンドくらいの収入が必要だったりするのかも、なんて、遠い空を見上げています。

 

『自分だけの部屋』が出版されたのが1929年で、その頃のポンドを現在の日本円に計算すると、410万円くらいだそうです。

 

遠い空が、さらにぼんやりしてきたように感じます。